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0470 第470話 酒蔵の町・新川ものがたり 「清酒品評会」
明治二十年代からの地方品評会
清酒の品質を向上させるため、色、香り、味を対象とした審査、いわゆる
利(き)き酒により、その優劣を決める「清酒品評会」は、各地方において、
かなり早くから開催されていたようである。
明治23年11月25日、日本橋東海書館発行の「醸造雑誌」(第54号)
によれば、「奈良県酒造家は、昨年創(はじ)めて醸造品評会を開きし以来、
組合規約の必要を感じ、有志者の尽力に依り、同11月之を設定」と、すで
に明治22年3月奈良県下で清酒品評会の開催されたことを記録している。
さらに明治22、3年発行の同誌によれば、23年6月までに、この奈良
県をはじめとして山形県東西田川郡、静岡県榛名郡、愛知県知多郡、福井市、
秋田市、松江市、京都府、淡路島、高知市、新潟県の各地で11回にわたっ
て開催された。 愛知県知多郡の品評会では、この開催について、「近来頻
(しき)りに粗悪乱造、酒類に防腐剤を投入して足持を稼ぎ販売−此等幣風
矯正(これらへいふうきょうせい)のため」と、その理由を記している。
東京の酒類仲買商組合における清酒品評会も、「酒(ききざけ)」の名
で明治22年ごろから行われていたようである。 このことは、明治29年
6月発行の「醸造雑誌」(第220号)に「第八回春季酒会開会」とあり、
また前掲書「酒屋の子」には、この組合の利酒会が年2回、両国の料理屋・
中村楼(のち伊勢平に変更)で開催していたと記録されているところから、
第一回の開催が明治22年ごろと推測されるのである。(中略)
この利酒会では、各番の1等から3等まで24銘柄が受賞。中井酒店から
は「高運」(醸造元・高岡源七)、「太白光」(醸造元・太白多十郎)が出
品され、「高運」は第4番で、「太白光」は第8番で、いずれも1位を受賞
した。また、長部文治郎醸造の「大関」は、嘉納治郎右衛門醸造の「正宗」
(売捌店・鹿島乃婦)、伊東順三郎醸造の「花魁」(売捌店・小西利右衛門)
とともに、中井酒店から銘酒参考品として出品され、会場に展示された。
(酒蔵の町・新川ものがたり 大関と木藤七、木藤夫、木文雄、
沢和哉共編 清文社刊より)
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