0461  第461話  酒蔵の町・新川ものがたり 「酒問屋」
  各酒問屋の取り扱い酒名と行事

 灘五郷の酒は江戸時代から酒問屋組合でその販売権を獲得していたが、
木藤七の中井酒店(さかだな)出店主当時(明治29年ごろ)に、各酒問屋
で取り扱われた主な下り酒の銘柄は次のとおりであった。

 中 井−− 大関、安穏、山海、牡丹正宗、鳳麟正宗、神龍、菖蒲正宗、
       四神正宗、正成、大御代、はや利桝、ふり袖、登久若
 鹿島本店− 菊正宗、桜正宗、褒紋正宗、瀧鯉
 高 門−− 世界長、鳳
 山 田−− 栄鯛、鍾馗、栄泉、和合盃
 丸 星−− 桜正宗、月桂冠
 三橋本店− いろ盛、富貴
 鹿島中店− 両點の白鷹、延寿長
 広 岡−− 惣花、惣長、長盛
 山 縣−− 白鹿
 山 星−− 東遊
 升 本−− 青松白鷹、しら鳩
 富士本−− 白雪、日本盛、しら泉、長栄
 富士西−− 布久娘、東自慢、長寿
 説 田−− 黒松白鷹、美人
 伊 坂−− 白鶴、喜一

 新川の各酒店では例年、新年の初売式、新酒荷開式、印披露
(しるしびろう)
などの行事が行われていた。
 毎年正月4日に挙行される「初売式」は、明治中期以降、酒問屋の宣伝の
一つとして行われてきたもので、当日酒店では売場と帳場の境界をとり払い、
座敷には絨毯を敷き、売場の正面には金屏風を立て、その前に大皿に盛りあ
げた山海の珍味とともに、各店自慢の酒樽が高く積み上げられた。(中略)

(酒蔵の町・新川ものがたり 大関と木藤七、木藤夫、木文雄、
 沢和哉共編 清文社刊より)