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0460 第460話 酒蔵の町・新川ものがたり 「蔵前(くらまえ)と若衆」
藤七出店主時代の新川
枝蔵へ出張した酒問屋の蔵前と若衆は、倉庫の路地一面に多くの酒樽を並
べさせ、正午過ぎには一斉に荷仕舞にかかる。蔵前は忠実に、その個々の酒
樽の中身を調べる習慣で、「これは何升べり」と樽の頭を振って言い当てる。
さらに樽扱いの上手な大勢の若衆を指揮して印別に酒樽を積み上げさせる。
当時、灘から積み送りされたものの大桶1本は、3斗7、8升から4斗づ
めの樽づめで80挺前後に相当する。蔵へ積み上げるさい、1桶が樽80挺
であれば10駄排、つまり20樽積みの排を4本つくるわけである。
最初は、適宜に蔵内の土間に藁(わら)を敷き、その上へ二(ふた)重ね
に、4,4、列の排をつくり、若衆の一人がその上に乗り、次々に太鼓揚げ、
巻き揚げ、蹴揚げ、さらに投げ込みで酒樽を積み上げていく。投げ込みとい
うのは、手数を省くために肩と手の力を利用して、酒樽を裏向き、表向きに
投げ込む方法である。
若衆は肩に一度かついで投げるより、かつがずに手玉にして投げ込む技倆
を名誉としていたが、これは特別の力量がなければできなかった。
蔵方は7、8人で1時間に100駄を目安とし、1日に1000駄以上も
の酒樽を扱った。鉤(かぎ)手燭を樽の縄につるして荷仕舞すると、真鍮管
酒樽へ突きさし、冷酒のラッパのみ。寒風にほろ酔い機嫌の顔を吹かして、
酒印を刷り込みにした帆前掛をしめて元気よく帰店する。
(酒蔵の町・新川ものがたり 大関と木藤七、木藤夫、木文雄、
沢和哉共編 清文社刊より)
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