0453  第453話  酒蔵の町・新川ものがたり 「結 婚」
  浜町五番地の新世帯

 明治10年代のはじめ玉吉は、ニ、三代藤右衛門の襲名前の名「藤七」を
襲名し、同13年4月20日、従妹の関口よし満22歳と結婚した。ときに
藤七満21歳、1歳年上の姉さん女房である。
 よしは、母なみの弟・九代仁兵衛の長女で、万延元年(1860)8月藤七が
父藤右衛門の死去後、母に伴われて関口家に寄寓し、慶応2年(1866)中井
酒店の丁稚小僧に入るまで、6年間をともに過ごした間柄である。

 すでに述べたように関口家は、当時両親、祖母が死去し、明治12年には
家屋を抵当に百円を借金、さらに翌13年にも普請代として百円の借金をす
るほど、どん底の生活にあった。
 藤七、よしの結婚は、明治11年11月死去した祖母(八代仁兵衛の妻)
の生前における取り決めであったともいわれている。
 20日の結婚当日、中井旦那様からはお祝品として十五枚笹(紋所)の御
紋付1着、妻よしには帯地料として5円などのお祝金が届けられた。

      口  上
   十五枚笹
 一 御紋付  一    旦那ヨリ
 一 帯地料 金五円   同縁女へ
 一 鰹節料 金五拾銭  浪花町ヨリ
 一  同  金壱円   詰合中ヨリ

 右者今般御結婚無滞被為整奉悦賀候、隋テ前記之通御祝申上候、幾久敷御
寿納可申候。以上
     米次郎

(酒蔵の町・新川ものがたり 大関と木藤七、木藤夫、木文雄、
 沢和哉共編 清文社刊より)