0450  第450話  酒蔵の町・新川ものがたり 「酒店の職制」
  丁稚小僧の仕事

 酒店の職制については、前掲書「酒蔵の町」にも、「酒問屋の支配人の次
は“売手”である。その次が“売手脇”で、その次が“蔵前”である。その
下に一人か二人の若い番頭さんがいる。

 私が小学校へ行く頃には長兄はその蔵前で、酒蔵の鍵を預り、蔵の責任を
持っていたらしい。私の長姉の婿(義兄)が売手脇であった。長兄より半年
ほど前に奉公したのだそうである。使用人と売手−番頭さんの間にもすべて
に格段の違いがあった。その場面を見て、子供心にも驚いたことがある」と
記述されている。

 酒店で「子供衆」と呼ばれ、番頭さんが「コドモーシ」と呼ぶ丁稚小僧の
仕事は、お店(たな)、行灯(あんどん)の掃除から倉庫の跡片づけ、使い
走り、掛取り(集金)にまわる売手のお供、上方酒造家宿泊のさいの江戸見
物御案内のお供、枝蔵(借り蔵)で作業中の若い衆への弁当運びなど、すべ
てが雑用である。ときには出日(でび 
大手筋のお得意さんの買い出し日)の翌日の
「売手」会合の給仕、利酒(ききざけ)会の手伝いなどをすることもあった。

 たとえば、木藤七の支配人時代、中井酒店で小僧づとめをした横地信輔
は、その体験を「酒屋の子」の中で、次のように書き残している。(次号)

(酒蔵の町・新川ものがたり 大関と木藤七、木藤夫、木文雄、
 沢和哉共編 清文社刊より)