0432  第432話  酒蔵の町・新川ものがたり 「両替屋」
  脇両替店の開業

 両替屋には金銀を扱うものと、銭のみを扱うものの2種類があって、前者
を「本両替」、後者を「脇両替」と称した。本両替屋は銭の両替はおこなわ
ず、金銀の両替をはじめとして、金銀相場の書上、為替貸付け等の業務をお
こなった。とくに幕府の公金を扱う本両替屋は、帯刀の特権、町入費の免除、
両替商の統括等、その勢力と信用は絶大なものがあったといわれている。

 江戸の両替屋は、幕府直轄の金貨鋳造発行所「金座」のあった本両替所、
駿河町、常盤橋、新両替所付近に集まり、ことに本両替所と駿河町には「両
町両替」といって、金銀のみを扱う本両替屋が集中していた。

 清助(初代新右門)が両替屋を開業した当時、江戸では金、銀、銭と3種
の貨幣が流通していた。その公定換算率は、時代によって異なり一定してい
ないが、たとえば金一両についての銭価は正徳年間(1711〜16)では、
2貫280文、また3貫420文、享保年間(1716〜36)では、2貫
688文と、まことに複雑きわまるものであった。
 いずれにしても、この3種の貨幣間の交換が必要であり、それを商売とし
たのが両替商であった。

(酒蔵の町・新川ものがたり 大関と木藤七、木藤夫、木文雄、
 沢和哉共編 清文社刊より)