0421  第421話  酒蔵の町・新川ものがたり 「菱垣廻船」
  菱垣(ひがき)廻船と樽(たる)廻船



菱垣廻船の図(明治24年「江戸会誌」より)

 元和5年(1619)には泉州堺の商人が、紀州富田浦の廻船、250石
積一艘を借り受け、日常生活用品を積載して最初の廻船を江戸に回送した。
 この積み荷のなかに、木綿、油、綿、酢、醤油に混じって酒があり、これ
が廻船による江戸積下り酒の最初のものといわれている。
 ついで寛永元年(1624)には、大阪北浜の泉屋平右衛門が江戸積船問
屋を開業、さらに同4年には、毛馬屋、富田屋、大津屋、荒屋、塩屋の5軒
が同じく船問屋を開店した。
 これらの船問屋に所属する和船は、他の和船と区別するため、船側に菱形
に編んだ竹垣の装飾をつけたところから「菱垣廻船」と呼ばれ、上方から江
戸への下り酒は他の商品と混載されて江戸に回送されるようになった。

 さらに正保〜宝永期(1644〜1711)には、大阪の安治川と伝法お
よび西宮に廻船問屋が成立。伝法廻船問屋が200石から400石積の和船
を用い、酒を主に酢、醤油、塗物、紙、木綿、金物などを混載して江戸へ回
送した。
 この廻船は船足が早かったところから当時「小早(こばや)」と呼ばれ、
荷主から大変歓迎され、後年「酒積切」の樽廻船として発展する過程をたど
っていくのである。

(酒蔵の町・新川ものがたり 大関と木藤七、木藤夫、木文雄、
 沢和哉共編 清文社刊より)