0420  第420話  酒蔵の町・新川ものがたり 「樽廻船」
  菱垣(ひがき)廻船と樽(たる)廻船



樽廻船模型 (大関株式会社蔵)

 「日本山海名産図会」に、「伊丹は日本上酒の始とも云べし」。是又古来
久しきことにあらず、元は文録(ママ)、慶長の頃より起て、江府に売始し
は伊丹隣郷鴻池村山中氏の人なり」と記録されているが、この下り酒の開始
された当初の江戸への輸送手段は、「駄送り」いわゆる駄馬輸送であった。
 馬の背に左右一樽ずつ、二樽積むのを「一駄」、一樽積むのを「片馬」と
いい、この商習慣は後年、江戸から明治年代にかけて、その輸送方法が水運
に転化されたのちにおいても酒の単位とされ、江戸の清酒価格や運賃などに
も十駄(20樽)が一単位として用いられた。

 このことは、明治38年西宮の松本貞佶郎から、東京新川の中井酒店へ海上
輸送された次の仕切状(資料集第1−4参照)によってもうかがうことがで
きるのである。
     大関印
  十一月七日
  一酒 四拾四太   攝海丸
  廿二日
  一同 四拾弐太   右同船
  十一月廿六日
  一同 四拾三太片馬 右同船
   〆百弐拾九太片馬
     弐百拾円替
     代金弐千七百拾九円五拾セン

(酒蔵の町・新川ものがたり 大関と木藤七、木藤夫、木文雄、
 沢和哉共編 清文社刊より)