0406  第406話  酒蔵の町・新川ものがたり 「灘五郷」
  平安から江戸時代にいたる酒造り


灘五郷概略図

 灘五郷(なだごごう)とは、西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷の
総称で、西摂地方の灘辺(なだべ)が転訛(てんか)して「灘目」(なだ
め)と呼ばれるようになった地方のことである。
 東は兵庫県の武庫川(むこがわ)河口から、西は旧生田川付近にいたる
沿海およそ24キロの地域をいっている。

 江戸時代、この地域は、江戸積酒造業、いわゆる下り酒を中心として上
灘、下灘、今津の三郷によって形成されていたが、明治19年「摂津灘酒
造組合」の結成によって、下灘が抜け、新たに西宮が加わり今日の灘五郎
が形成されたのであった。

 この灘酒造業が、酒の品質向上によって江戸積下り酒の銘醸地として台
頭してきたのは、すでに冒頭で述べたように享保期(1716〜36)以降
のこと。 さらに、江戸市民の遊楽が盛んで酒の需要が増大した19世紀
前半(文化文政時代)には、それまで江戸積の銘醸地として知られていた伊
丹、池田、西宮をしのぎ、江戸市場を独占するまでに発展していったので
ある。

(酒蔵の町・新川ものがたり 大関と木藤七、木藤夫、木文雄、
 沢和哉共編 清文社刊より)