0403  第403話  酒蔵の町・新川ものがたり 「柳酒」
  平安から江戸時代にいたる酒造り

 その後、平安末期から鎌倉時代にかけて酒は、貨幣経済の発達とともに
商品としての生産が開始され、従来の自給生産の段階から販売目的の生産
に移行した。さらに商品生産としての酒造りは、やがて課税の対象となる
までに発展、同時に各地に銘酒を生んでゆく過程をたどった。

 課税の対象となった酒で、まず挙げられるのは、京都五条坊門西洞院の
「柳屋」で「文星紋」の商標をもって醸造された「柳酒」(やなぎざけ)
である。
 当時、地方で醸造された酒は、「田舎酒」(いなかさけ)、あるいは単
に「田舎」と呼ばれていたが、この柳酒は文正元年(1466)の記録で
は、年間720貫の税金(京都における酒税の約1割−「酒・さけ・酒」
大関酒造《現・大関》株式会社編)を納めており、当時において、いかに
大規模な醸造元であったかをうかがい知ることができるのである。

(酒蔵の町・新川ものがたり 大関と木藤七、木藤夫、木文雄、
 沢和哉共編 清文社刊より)